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山形地方裁判所鶴岡支部 昭和36年(わ)176号 判決 1964年4月17日

主文

被告人菅原圭治、同宮野定を各懲役三月に処する。

ただし被告人等に対し、本裁判確定の日から一年間右各刑の執行を猶予する。

訴訟費用は全部被告人等の連帯負担とする。

理由

(本件犯行に至るまでの経緯)

一、文部省は昭和三六年二月下旬頃地方教育行政の組織及び運営に関する法律(以下地教行法と略称する)第五四条第二項の規定により全国中学校一せい学力調査を実施することを計画して「昭和三六年度全国中学校一せい学力調査実施要綱」を発表し、これにもとづく学力調査を実施のうえその結果報告を提出すべき旨山形県教育委員会に連絡し、同教委教育長は県内各教育出張所宛に右の旨を伝達し、さらに田川教育出張所長は管内市町村教育委員会教育長にこれを連絡した。

ところで右実施要綱は、

(一)  調査の趣旨は義務教育の最終段階である中学校の第二学年および第三学年の全生徒に対し、国語、社会、数学、理科および英語について一せい学力調査を実施し、そこにあらわれた学力の実態をとらえ、次のような諸目的に役立たせるものとする。

(1) 文部省及び教育委員会においては教育課程に関する諸施策の樹立および学習指導の改善に役立たせる資料とすること

(2) 中学校においては自校の学習の到達度を全国的な水準との比較においてみることによりその長短を知り、生徒の学習の指導とその向上に役立たせる資料とすること

(3) 文部省および教育委員会においては学習の到達度と教育的諸条件との相関関係を明らかにし、学習の改善に役立つ教育条件を整備する資料とすること

(4) 文部省および教育委員会においては能力がありながら経済的な理由などからその進学が妨げられている生徒などの数を把握し、育英、特殊教育施設などの拡充、強化に役立てる等今後の教育施設を行なうための資料とすることなど

であるとし、なおこの調査結果の利用については「生徒指導要録」の標準検査の記録欄に調査結果の換算点を記録することとすると定め、

(二)  調査の対象は公立、私立および国立中学校の第二学年、第三学年の全生徒とする。

(三)  調査教科は国語、社会、数学、理科、英語、ただし英語については履修していない生徒を除く。

(四)  調査の実施期日は昭和三六年一〇月二六日全国一せいに同一問題によつて行なう。

(五)  調査問題の作成は文部省において問題作成委員会を設けて教科別に作成する。

などと定めているが、山形県大山町教育委員会(大山町は昭和三八年鶴岡市に合併さる)は昭和三六年一〇月二日の定例会において、前記学力調査が地教行法第二三条第一七号の教育にかかる調査であるとして、右実施要綱に従つて管内中学校生徒に対しテストを実施する旨の決定をし、同教委教育長山浜敏雄にこれを一任した。同教育長は同月一八日の管内校長会の席上西郷中学校長五十嵐作太郎に対し、一〇月二六日テストを実施してその結果を報告すべき旨及び同校長をテスト実施責任者とする旨を命じた。五十嵐校長は同月二〇日右職務命令にもとづくテストを実施するため、同校教員に対し同月二六日は当初計画による平常授業を行なうことなく右テストを実施するよう授業の変更を命じ、さらに同月二五日同校教員阿部正雄外一〇名に対しテスト補助員となるべきことを命じたが、右教員等はこれを拒否してしまつた。

一方、山浜教育長は後記の労働組合等との交渉経緯及び同月二二日頃大山町大山公民館で開かれた学力テスト説明会における雰囲気等より西郷中学校教員がテスト補助員となることを拒否するであろうことを察知し、かかる場合に処するため、同月二四、二五の両日管内小学校の校長教頭並びに大山町教委事務局職員等をしてテスト補助員に任命した。

二、日本教職員組合は一せい学力調査が池田内閣の高度経済成長政策を推進するための人材開発計画の一環としてなされるものであるとして、昭和三六年七月の第二三回定期大会において学力調査反対闘争を組織することを決議し、同年一〇月六、七日の第五六回中央委員会で反対闘争の具体策を決定し、全国単位教組に対し国民各層の支援、協力をはかるため宣伝、啓蒙に重点をおくこと、地域住民の意思を結集してテスト中止の県教委交渉を行なうこと、テスト当日は平常授業を実施してテストには応じないこと等の指令を出した。山形県教組においては同月一七日の臨時大会で右中央委員会の決定を確認して反対運動をなし、同教組田川地区支部も同月一四日の拡大代議員会で右決定を確認しており、これと前後して田川地区の各労働組合、住民等に対して反対運動の教宣活動を展開し、他方同月一六日田川地区校長会代表と、同月二一日頃同地区教育長協議会と各テスト中止交渉をし、同月二四日頃教育長及び校長側と三者会談をした際にはテスト期日を変更すること、抽出テスト方式で行なうこと、テスト結果を指導要録に記入しないこととの妥協案を提出し、右提案を検討するため同月二五日三者の代表からなる小委員会において会合をもつたが、教育長側が指導要録不記入の点を除きその他の条件には応じられないとの態度をとつたためついに交渉は決裂した。

三、大山町労働団体連絡協議会は大山町の農民組合、県教組大山小学校分会等労働組合の協議会であるが、同年一〇月一一日頃開かれた常任委員会において、学力テストは教育委員の任命制、勤務評定、指導要領の改訂等一連の反動文教政策の一環として実施されるものであり、この実施により生徒の差別化がなされるから教員と共に反対闘争をしなければならないとして、教組側の支援要請を受け入れることを決め、同月二一日県教組大山班と共同して大山町教育委員会に対しテスト中止の交渉をしあるいは前同様の妥協案を提出し、さらに同月二二日大山町大山公民館において教委側の出席を求め学力テスト説明会を開催し、又前記二五日の三者代表小委員会交渉決裂後右連絡協議会傘下の西郷農民組合と西郷中学校教員との間で翌二六日のテストについての対策を練り、教員側は平常授業を行ない、農民組合側の町会議員は西郷中学校長にテスト中止の説得交渉をし、他の者は西郷中学校玄関先から隣接の西郷小学校前に至る道路上で中学校に来るテスト補助員に対し同補助をしないよう説得する等の打合せをした。

(罪となるべき事実)

被告人菅原圭治は本籍地の小学校卒業後農業に従事し、山形県西田川郡大山町議会議員、同町西郷農民組合副組合長、大山町労働団体連絡協議会顧問等の職にあつた者、被告人宮野定は庄内農業高等学校卒業後同じく農業に従事し、右農民組合及び協議会の各執行委員をしていた者であるが、前認定の打合せにもとづき被告人等はテスト実施日たる一〇月二六日早朝から大山町大字下川字竜花一番地所在西郷中学校へ赴き、被告人菅原は校長室において前記五十嵐校長にテスト中止の交渉をし、被告人宮野は右中学校玄関先附近において他の農民組合員十数名と共に来校するテスト補助員に説得交渉をつづけて到着を遅延させ、一方同校教員等は五十嵐校長から授業を変更して学力テストを行なうよう命じられていたのに、午前八時半頃から平常授業に入つてしまつた。

五十嵐校長は午前一〇時過頃テストを実施すべくテスト補助員と共に所定学年の教室へ向つたところ、同校教員阿部正雄から「今教育委員長と交渉中であるからそれが済むまでテストを待つてもらいたい。」との申入れを受け校長室にひき返したが、教員側はその後職員会及び職場会を開き、あくまでも平常授業をつづけ、生徒をしてテストを行なわしめないとの態度を決め午後の授業に入つた。かようにテストの実施が遅れていることを憂慮した大山町教育委員会山浜教育長は午後一時過頃事態に対処するため来校したが、県教組田川地区支部長〓原末生から、西郷小学校長、同教頭の管理職二人が共にテスト補助員として出向いて来ていることにつき万一留守中の小学校に事故が起こつたらどうするか等と抗議を受け、同校長を帰し、自らがテスト補助員となり、五十嵐校長と午後二時二〇分から国語のテストを実施することを決め、二時頃各補助員はテスト用紙をそれぞれ携え、同教育長を先頭にそのうしろに同朝同教育長からテスト補助員を命じられていた田川地方教育出張所職員斎藤松之助が続き、さらに他の補助員もこれに従い、教室へ向うべく校長室北側出口を出ようとした。

これより先右テスト実施が決定されテスト用紙が配付されつつある情況を目撃した被告人菅原はこれを阻止すべく、学校玄関附近に待機していた被告人宮野等の西郷農民組合員に事態の急をつげた。被告人宮野及び伊藤武義、田村兵一、佐藤久一、宮野忠雄、田中利一、水口喜一は直ちに校長室へかけつけ、ここに被告人菅原、同宮野は右伊藤等と意を通じ右テスト補助員が校長室から各教室へ向うのを阻止し、テストの実行を妨げようと共謀し、一団となつて北側出口前に立ち通路を塞ぎ、被告人菅原は山浜教育長の前に立ち塞がり、上体で同人を押し返し「テスト用紙を置いていかなければ部屋から出さぬ。」といつてどなり、やむなく東側職員室に通ずる出口から同人が出ようとするやその前に立ち塞がり両手を同人の肩に当てて後方へ押し戻し、被告人宮野は北側出口附近において手や上体で斎藤松之助を押して後退させ、もつて右両名のテスト実施に赴かんとする公務の執行を妨害したものである。

(証拠の標目)(略)

(弁護人等の主張に対する判断)

一、学力調査の目的の違法性

弁護人等は本件学力調査の実施目的は「昭和三六年度全国中学校一せい学力調査実施要綱」に形式上示されているが、文部時報一九六〇年一一月号文部省初中局の「当面する文教政策の重要課題」と題する文書によると前記のとおり人材開発計画の一環として学力調査をなすことを明らかにしており、昭和三六年度文教予算中の中学校生徒学力調査費の提案理由も「人材開発計画立案のための調査」と説明し、いずれも独占企業に必要な人材開発を目的として学力調査を実施することを明らかにしているところで、右実施要綱にいうところの教育条件の整備等に必要な資料の収集は従来行われて来た抽出テストで十分であり、又今日いかなる教育条件が充分でないかは客観的に明瞭であるから、実施要綱の挙げている目的は偽瞞であると論ずるが、本件学力調査が冒頭に判示したとおりの目的をもつてなされたものであることは証拠上これを認めることができ、なお現在における統計学上その確率度を勘案すれば一せいテストが抽出テストにまさること多言を要しないところであり、実施要綱にある目的が全くの偽瞞であると断ずるまでの証拠はない。ただ後述のとおり、実施要網では調査結果を生徒指導要録に記録することと定めており、このことは本件学力調査が個々の生徒の成績評価をも目的としていたことを意味するから、この点に限り違法というべきである。

二、学力調査実施の形式的違法性

弁護人等は本件学力調査の実施手続に違法があるとして、地教行法第五四条第二項により文部大臣が教育委員会に対し求めうる事項は教委の既存の調査資料の提出を求めることに限られ、それ以上に教委をして調査そのものを行わせうると解すべきではない。本件学力調査のように文部省が自らの所掌事務遂行のため、自ら計画立案して行なう調査は同法第五三条第一項により自ら行なうか、文部省の費用負担において同条第二項により都道府県教育委員会をして行わせるべきであつて、同法第五四条第二項を根拠に市町村委員会に調査を命ずることはできないところである。かりに文部省が教育委員会に調査を命じたのではなく教委が自主的に学力調査を行なつたとしても教委にはかかる権限はない。すなわち地教行法第二三条の定めている教育委員会の職務権限に属する事務は当該地方公共団体が処理する教育に関するもの(団体事務)と法令によりその権限に属するもの(機関委任事務)とに限られるが、本件学力調査は文部省すなわち国の事務であるから大山町教育委員会がこれを行なうためには法令によりその権限を付与されていなければならないのに、かかる法令は存在しない。かように大山町教委が本件学力調査を実施する権限を有しない以上同教委は一方的に西郷中学校長や教員をテスト責任者もしくは補助員に任命することはできないと主張する。

按ずるに、弁護人等の見解は本件学力調査の実施が文部省の所掌事務であるとの前提に立つものであるところ、なるほど右は文部省が計画発案し、詳細な実施要綱まで発表している点文部省の占める割合の重大さは否定しえないが、判示認定のとおり大山町教育委員会はあくまでも学力調査が地教行法第二三条第一七号の団体事務であるとして教委自らこれが実施の決定をしたものであるから、弁護人等の前提は理由がないというべきである。つまり同法第五四条第二項により文部大臣より県教委に、県教委より大山町教委にそれぞれ学力調査の結果報告の提出を求めたので大山町教委は右報告の必要上管内中学校の生徒に対し団体事務として学力調査を実施する旨決定したのであつて結局同教委には本件学力調査実施権限があつたということになる。かような権限が認められるとつぎに本件における山浜敏雄及び斎藤松之助の各テスト補助員性が問題となるが、山浜教育長は学力調査の実施を大山町教委から一任されているものであり、必要に応じ自らを補助員に任命しうることは当然であり、一方前掲証人山浜敏雄、同斎藤松之助の各証言によれば、同教委は地方自治法第二五二条の一七にもとづき山形県田川地方教育出張所に対し所属職員の派遣を求め、これに応じて同出張所職員である右斎藤がテスト当日大山町教委に出向し、同事務局職員の身分をも有することになつたことが認められるから、山浜教育長は地教行法第二〇条第一項により右斎藤に対しテスト補助員を命ずる権限がある。

三、学力調査の実質的違法性

本件学力調査は一度のペーパーテストで生徒を評価し、しかも生徒の個性を抹殺して五教科のみに特定しており、その結果は生徒指導要録に記録されて成績基準とされ、いうなれば教員の自主的教育評価を排除して文部省の作成した問題によつてテストし、教員を文部省の手先となるテスターにしようとするものである。又教育基本法によつて教育と教育行政は分離され、前者は教員の職務、後者は教育行政機関の職務とされたが、生徒に対して行なう学力試験は本来教育のために行なう活動であつて教育行政機関のなす仕事ではない。そして教育行政機関が自らの職務の遂行に必要な資料を得るためやむなく教育に関与する場合であつても、その関与が教員の専権たる教育に不当な影響を与えることのないよう十分配慮すべきであり、その保証を欠く場合には教育権の侵害として許されないものといわなければならない。かように弁護人等は主張するので以下判断する。

(一)  本件学力調査においては国語、社会、数学、理科及び英語の五教科についてのみテスト実施が予定され、中学校の全教科に及んでいないが、かかる事情はテスト技術等行政上の理由によると考えられるから、テストが五教科に特定された点は適、不適法の問題ではなく当、不当の問題に帰するものである。

(二)  判示の如く西郷中学校長は同校教員に対しテスト当日の授業計画の変更を命じたが、同校長のかかる行為は大山町教育委員会教育長の職務命令にもとづくものであるところ学力調査を実施するため当初計画による平常授業を変更することはその性質上やむをえないところであるし、さらに本件学力調査においてテストに当てられるのは一日分だけであるから、右事実をもつて教育に対する不当な支配と断ずることはできないと解すべきである。

(三)  教育行政機関がある時期における全国中学生の学力の水準を学校別あるいは地域別に一定の基準をもつて測定し、具体的な教育諸条件との相関関係を明らかにするため生徒に対しその学力のテストをすることは行政調査として許されるべきであり、本件学力調査が一面においてかかる目的をもつていたことは前述のとおり否定しがたいところである。しかし教育と教育行政とを分離している教育基本法の立前からして、教育行政機関のなす調査が教育内容に触れるものであつてはならず、あくまでも客観的事実の把握に終始すべきこと当然である。ところで大山町教育委員会が実施せんとした本件学力調査は全て文部省の前記実施要綱にもとずくものであるが、同要綱によれば調査結果は生徒指導要録の標準検査の記録欄に結果の換算点を記録することになつているから、同教委は学力調査の実施の目的の一つに個々の生徒の成績評価を考えていたことがうかがわれる。かかる生徒個人の評価は教育活動に属し、担当教員のみがこれをなしうるものであつて教育行政機関に許されるべき事項ではなく、さらに生徒指導要録が長期間保存され生徒の転校等にこの写しを送付される等の性質のものであることを考え併せると本件調査結果の生徒指導要録への記録を命じた点は違法と断ぜざるを得ず、従つて大山町教委の実施せんとした本件学力調査、ひいては文部省の前記実施要綱はこの点において瑕疵を有するものであるが右一部の瑕疵をもつて本件調査全部が違法となるものとは断じ得ないところである。前掲各証拠から明らかなように、本件で被告人等が調査結果の生徒指導要録への記録に極力反対して大山町教委と根強く交渉し、同教委は文部省の通達に固執するあまり被告人等に対しその反対態度を強化させ、本事件を惹起せしめる一因となつたことを考えれば、被告人等の心事察するに余りあるところであるが、判示の教委交渉の経緯に照らし、これが不記入については全く望みがなかつたわけではなく、この点を考慮すれば、右のとおり本件学力調査全体が決定的に違法無効のものであるといいがたく、従つてこれを実施せんとしたテスト補助員の職務が公務執行妨害罪において保護の対象となる一応有効な公務に当たると解することに妨げはない。

四、公務の不存在

弁護人等はテスト当日西郷中学校では所定の平常授業が行なわれていたから本件学力調査の実施は不可能であり、このようにはじめから不可能な公務は元来公務でなく、被告人等の妨害の有無にかかわらず当初より不能であつた旨主張するが、前示認定のとおり同校長は一〇月二〇日各教員に対しテスト当日は平常授業を変更して本件学力調査を行なうよう命じているから法的にはテストを実施しうる状態にあつたというべく、従つてテスト補助員の職務は存在しえたと解すべきである。

五、本件行動の実質的違法性の欠如

最後に被告人等の行動は民主教育を擁護せんとの目的に出たものであり、大山町教育委員会との事前交渉並びにテスト当日の交渉を通じ終始誠意ある態度をとつていたのに教委側は全く誠意を示さず、やむなく説得阻止行動に至つたもので、その手段に必要性、相当性を具有し、よつて生じた結果はテスト補助員等が教室へ行くのがわずかに遅れたにすぎないから、被告人等の擁護しようとした法益に比べ極めて些細なものである等被告人等の行動は実質的違法性を欠いている旨主張するので按ずるに、本件学力調査はこれまでに述べた如く調査結果の生徒指導要録への記録という点で瑕疵を有するが、これが不記入はテスト実施後においても問題とする余地があつたから、テスト実施段階において判示の如く暴力をもつて直ちにこれを阻止せんとしたことは手段の必要性を欠くものであり、かかる考えは右の問題をテストの終つてしまつた後で交渉するのでは実効がないとの理由により左右されるものでないから、被告人等の目的が民主教育の擁護にあつたとしても本件行為を目して実質的違法性を欠くものということはできない。

(法令の適用)

被告人等の判示所為は各刑法第九五条第一項、第六〇条に該当するところ、所定刑中懲役刑を選択し、その刑期範囲内で被告人菅原、同宮野を各懲役三月に処し、同法第二五条第一項により被告人等に対し本裁判確定の日から一年間右各刑の執行を猶予し、訴訟費用は刑事訴訟法第一八一条第一項本文、第一八二条により全部被告人等の連帯負担とする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 井上謙次郎 野口栄一郎 神田忠治)

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